2021年12月9日、子ども福祉弁護士の平湯真人先生が旅立たれました。平湯先生は認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの監事をしてくださっており、会議の場面で何度かご一緒させていただきました。
先日「平湯真人さんを偲ぶ会」が開催され、多くの方が集まって、平湯先生とのエピソードを語られ、会場包み込む雰囲気が、とても温かかったです。
平湯先生は詩も残されていらっしゃるとのことで、会では2つの詩が朗読されました。ご家族の了解をいただいたので、ここで1つの詩を共有させていただきます。
「暮らしと子ども」(作:伊東わかば=平湯先生のペンネーム)
夜疲れて帰った母親は
皿に盛ったカレーライスを半眠りの子どもがひっくり返した時
「いつもドジなんだから」と叱って子どもを泣かす。
病気の母の代わりに夕食を用意した兄は
ひとり半分ずつのコロッケを弟が一口で食べてしまったので
「いっぺんに食べるんじゃない」と大声で叱って弟を泣かす。
雪が降ったので暮のボーナスをはたいてゴム長を買ってきた父親は
すぐにも子どもに履かせたい。
それを母親が「せっかくだからお正月まで待ったら?」と口を挟んだので
「俺の気持ちが分からないのか!」と怒鳴って、子どもを泣かす。
家が商売をやっているので、子どもはお客さんの家に届け物をする。
叱られて届けに行った先の叔母さんが
「ごくろうさま」とバナナを半分くれたっけ
家の中が複雑になっても、外で子どもは楽になる。
きのうの新聞の記事だ。
冷蔵庫にいくつかあったアイスクリームを子どもが全部食べてしまって
失業中でイライラし通しの若い父親は
「俺の分を勝手に食べた」と逆上して殴りつけ、子どもに大怪我をさせた、という。
ここまでになる前に
気持ちを楽にしてくれる叔父さん達はいなかったのだろうか。
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最後の1文はもちろん、「おじさんおばさんたち」と読み替えていただけましたら。
詩にある様々な場面は、「あるよね」「そうだよね」と思う子育て中のママパパも多いのではないでしょうか。
「ここまでになる前に」という言葉にいろいろな想いが駆け巡ります。
「(苦しい)気持ちを楽にしてくれる人」がいることが大事ですね。そんな人に、私たちはなれているでしょうか。温かいまなざしが、日本中、世界中に広がりますよう。