目黒5歳の女の子の虐待死によせて~叩かない怒鳴らないで育てること

目黒区で3月に結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が父親から殴られた後に死亡した事件が日本を駆け巡っています。

写真はママあてに書いた反省文。朝4時に目覚ましをかけて、自分で起きて、勉強をして(させられて)いたそうです。パパが怖くて、でも頑張っているところをママに褒めて欲しくて一生懸命に書いたのだろうと思うと本当につらいです。

香川からの引っ越し後の連携、児童相談所の対応、父親が継父で無職だったことなど、とてもたくさんの要因が重なってしまっていたと思います。そしてその負のパワーを一手に引き受けてしまった結愛ちゃん。どんなに怖くて、つらくて、切なかったかと思うとやり切れません。

子どもの虐待死は毎年約50~80人くらい。1週間に1人が亡くなっています。最近では当たり前になってしまったのか、報道されない虐待死も多くなっているのが現状です。そんな中で結愛ちゃんの報道に触れ、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。

上記に書いた通り、本当に様々な問題が絡み合って、そこから零れ落ちてしまった大事なかわいい命。

「父親は、児相の聞き取りに対し「きちんとしつけないといけないから」と繰り返し説明」(6/8ハフポスト日本版より)

という言葉から、私はやはり根本は、しつけのつもりの体罰への容認の意識が根底にあると思っています。

これはセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが全国2万人の大人を対象に、子どもに対するしつけのための体罰等に関する意識調査のデータ(2017年7月実施)です。

子どもを叩くことに対して、6割が容認しています。

「しつけのつもり」「言うことを聞かないから聞かせるため」「悪いことをしたから」などと叩いたり、体罰を加えている親がまだまだ多いのが現状です。子どもを叩いてしまうのは、ほとんどがイライラの爆発です。

先日2歳児のお子さんと会話する機会がありました。もちろん飽きてしまったり、感情の波はありますが、きちんとお話しするとちゃんと理解してくれます。2歳でも向き合えばわかってくれます。

5歳の結愛ちゃんは、本当に本当に賢い子。ママとパパの期待に応えようと、たくさん頑張ったのだと思います。

大人であれば一方的に叩く、暴力をふるうのは傷害罪です。それなのに「しつけ」と称して、子どもへ手を挙げることは認められるというのは、おかしくないでしょうか。

もちろん「ついイライラしてしまって」ということもあります。手を挙げている親を逮捕しろとか、刑罰を与えて欲しいと言っているわけではありません。私が副代表を務めるNPO法人子どもすこやかサポートネットのサイトにQ&Aがありますので、ぜひご覧ください。

講座でもお伝えしていますが、叩いたり体罰を加えることはエスカレートします。叩いても言うことを聞かないと、「叩き方が弱かったから?」「1回叩いただけじゃ、効かないのか?」とエスカレートしてしまう傾向があるのです。

でも叩いたり体罰を加えることは、子どもを威圧しているだけ。怖いから従うだけ(困った行動を止めるだけ)で、子どもがどのように行動した方がよかったかを学ぶ機会を奪うことにもなります。

「叩かない怒鳴らない」で子育てできます。

ぜひ「叩かない怒鳴らないで子どもを育てる」を広げていきましょう。子どもと向き合うには、親としてもとてもパワーが必要です。でもそんな関わりを重ねることで、子どものコミュニケーション力や思考力もアップします。「この場面ではどうしたらいいのか」と考えることは、将来の自律にもつながっていくでしょう。親自身も子どもの考え方に触れ、学ぶことや気づきがきっとあると思います。

怒っている人は困っている人。イライラが大きいパートナー、ママ友やパパ友がいたら、ぜひ話を聞いて、心をほどいてあげて欲しいと思います。

まずは半径5メートルからスタート。あなたの家族は、笑っていますか?

愛の鞭ゼロ作戦

叩かない子育て宣言

★講座・講演などのお問い合わせはこちら