「育児情報誌miku休刊のお知らせ」~感謝を込めて

発行元の株式会社絵本ナビ様からリリースされましたが、育児情報誌mikuが休刊となりました。

私自身驚き、寂しい気持ちはありますが、株式会社絵本ナビ様から2号発行し、皆様にお届けできたことを、とても感謝しております。絵本ナビメンバーの皆様と編集内容や営業なども、一緒に考え、活動させていただいてきた部分も多くあります。これからの新たな展開もメンバーの皆様と模索しておりましたので、とても残念ではありますが、さまざまな思いや葛藤があったうえでの決断だと思います。

実は、次(夏)号発行の予定で、記事取材を進めており、また、講座などでmikuを配布させていただき、次号の発行についてお知らせさせていただいておりました。楽しみにしてくださっていたみなさまには、本当に申し訳ありません。

育児情報誌mikuの創刊は2005年。私は創刊直後から編集長をさせていただき、14年にわたり53号まで発行させていただきました。

本当にたくさんのみなさまに支えていただいてきた情報誌です。子育て中のママパパの編集スタッフやデザイナー、カメラマン、イラストレーター。印刷会社や、配布を支えてくださったスタッフ、設置や配布に協力くださったみなさま、そして何より毎号、発行を楽しみにしてくださっていた読者の皆様に支えられた情報誌でした。当初は一都三県配布でスタートしましたが、最終的には日本全国(全都道府県+上海・オークランドで配布)13万部発行の情報誌となりました。読者アンケートは毎号1500件を超えるほどの回答で、フリーコメントには長くて熱い、温かいメッセージがびっしりと書かれており、楽しみにすべて読ませていただいておりました。

今でも忘れられない感想コメントに、以下のものがあります。

「mikuを読むと、大丈夫だよと言われているようで、優しい気持ちになります。その分、子どもに優しく接し、子どもとの時間を楽しく過ごしたいと思います」

mikuにはいろいろな想いを込めて、編集スタッフと共に企画編集し、世に送り出させていただいておりましたが、まさに上記のコメントこそが、私の目指していたところです。

私自身が勝手に思っていたところではありますが、mikuは日本版ネウボラ情報誌。妊娠中から就学前までの親子に寄り添い、伴走しながら、ちょっと元気づけたり、情報提供をしたり、いろいろな人とかかわりながら子どもを育み、子育てを楽しんでいただけたらと、アイディアやヒントをお伝えしてきました。

無料配布にこだわったのも、子育て中につらさや苦しさ、孤立感を感じている方は、自分から情報を取りにいかない傾向があるからです。ベビーカーで立ち寄るところに、無料で置いてあり、手に取っていただくことができればば。小見出しやコラムの一言でも読んでいただき、少しでもほっとしたり、気づきになればと思って作っていました。

mikuの編集にあたっては、言葉や写真の撮り方、イラストの使い方なども含めて、いろいろな状況のママパパが読んでくださっているので、誰かを責めたり、追い詰めるような表現になっていないかなど、細心の注意を払って、作ってきたつもりです。

最初の発行元は小さなプロダクションでした。その後2008年に株式会社ベネッセコーポレーションに事業譲渡され、2010年に株式会社ブライト・ウェイが発行元を引きつぎました。株式会社ブライト・ウェイは、夫と私の会社。要は高祖家が発行元になることに、経済状況含めて(3人の子どもの学費もありますし)、大変な戸惑いもありましたが、結果、株式会社ブライト・ウェイから8年間発行させていただきました。2018年春に株式会社絵本ナビ様に事業譲渡し、2号発行させていただきました。

2011年はmikuにとって激動の年でした。

株式会社ブライト・ウェイがベネッセコーポレーションから事業譲渡を受け、発行を軌道に乗せかけようとしていた矢先に東日本大震災が起こりました。

2011年3月発行(春)号には、ヒブワクチンの定期接種化の動きをいち早く記事にしました。ところが、定期接種スタートしてすぐに摂取後の死亡事例が発生したために、ワクチン摂取にストップがかかりました。春号を配布し始めたタイミングだったため、配布ストップ・配布済みのものは回収。すべての冊子に予防接種の現状を伝えるぺら紙を急遽挟み込みしてから、配布スタートするという対応もしました。配布を再スタートしたその日に、東日本大震災が起こったのです。その後1カ月もたたないうちに、厚生労働省により副作用によるものではないとの判断がされ、定期接種が再スタート。「挟み込みのぺらは抜いていいよね」と各地の院長先生などからわざわざご連絡をいただいたこともありました。

mikuのこだわりの紙(手に取っていただいたときに、ほっとできるような手触りの特殊な紙を使っています)が、東日本大震災で被災した日本製紙石巻工場でしか作っていなかったため、その後2号分は別の用紙を調達して発行しました。それ以降の時期は、TVはもちろん、印刷媒体への広告出稿の出し控えなどもあり、広告収入だけで無償で発行しているmikuの継続はとても厳しいものでした。

2010年冬には、スウェーデン大使館のプレスツアーに参加(NHK、産経新聞、育児情報誌mikuというメンバーでした)させていただきました。その時の記事も2011年春号に掲載しています。今でも講座で紹介していますし、たくさんの方に読み継がれています。

「スウェーデンで浸透している叩かない子育ては日本で実現できるか」

https://www.kosodate.co.jp/miku/vol24/10_01.html

私自身の活動として、それまでも子育て講座でのお話しはしていましたが、「叩かない子育て」というところに大きくシフトしたのも、この取材がきっかけでした。

そのほかさまざまな記事が、たくさんの方に読み継がれています。あげきれませんが、以下一部を紹介します。

「しつけと虐待の境界線」

https://www.kosodate.co.jp/miku/vol46/12_01.html

「母性 父性ってなんだろう?」

https://www.kosodate.co.jp/miku/vol21/10_01.html

「親になるということ」

https://www.kosodate.co.jp/miku/vol34/12_01.html

「脱いい子~自己肯定感を高めよう」

https://www.kosodate.co.jp/miku/vol28/12_01.html

「非認知能力って?どうしたら伸ばせるの?」

https://style.ehonnavi.net/miku/2018/03/25_003.html

「ひといちばい敏感な子の育て方、接し方」

https://style.ehonnavi.net/miku/2018/11/05_004.html

令和のスタートの時期に、このようなご報告となり、大変恐縮ですが、育児情報誌mikuを応援くださった皆様には、本当に感謝しています。「mikuが大好き」と言ってくださる方は、とても多いのですが、私自身がだれにも負けないくらい、育児情報誌mikuのことが大好きでした。

育児情報誌mikuを応援くださって、今まで読んでくださって、発行を楽しみにしてくださって、本当に本当にありがとうございました。感謝を込めて。

育児情報誌miku編集長 高祖常子