子どもを育てられない親、預ける親を認める社会に…3歳女児ネグレクト死事件から考える

2020年7月7日、東京都大田区で3歳の女の子が放置されて亡くなりました。名前は稀華(のあ)ちゃん。

7月9日に「ABEMA Prime」にzoomで生出演しましたが、その内容がサイトにアップされました。

子どもを育てられない親、預ける親を認める社会に…3歳女児ネグレクト死事件から考える

以下、私のコメントを貼り付けておきます。

NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」の高祖常子理事は「報道によれば、夜に仕事に出る際に置き去りにしていたというし、5月にも旅行に行っているという。“あの時は大丈夫だったから”ということで、放置する期間が少しずつ長くなってしまったのではないか。供述からも、命を奪おうという意識は本当になかったのではないか」との見方を示す。

 「やはり子どもの世話ができない、ということであれば、“預ける”という選択肢を持っていただきたいということ。そのためにも、まずは自治体や児童相談所などに相談すること。様々なトラウマを抱えられている方も多いので、心療内科などに相談してもいいと思う。今回のケースでは、本人がどのくらい相談をしていたのかが気になる。“受援力”とも言うが、一般的に社会で元気にやられている方は周囲とのつながりがあり、協力し合えたり、手を借りたり、時にはSOSを出せる人だ。しかしネグレクトが起きている家庭の場合、そうでないことがとても多いからだ。また、保育園に登園しなくなってしまっていたということなので、母娘は社会とつながることがなく、見えづらくなっていたと思う。気になる泣き声が続いたり、子どもの姿を見かけなくなったりした場合、その家庭が何らの困りごとを抱えている可能性がある。実際に虐待があるかどうかは児童相談所が判断してくれるので、近隣の方は、ためらわずに通告ダイヤル“189”に情報を提供していただければと思う」。

Facebookにも投稿しましたが、スタジオの皆さんはアナウンサーも含めて「愛情がないなら、里親とかに出したらいい」という意見が多数でした。写真のように親子で笑顔で過ごしていた時期もあったのです。サポートしていくこと、周囲との繋がりが大事。と伝えたのですが、なかなか届きにくかったかもと思いましたが、ABEMA TIMESに掲載いただいたり、ヤフーニュースに紹介いただいたので、想いを伝えられてよかったです。

稀華(のあ)ちゃんという素敵な名前を付け、頑張って子育てしていた時期もあったのです。保育園に通わなくなり、定期健診にも来なかった、行政からは2回家庭訪問したけれど「会えなかった」との報道もあります。救えるチャンスはあったのではと思います。

親だって、息抜きしたい、遊びに行きたいという思いを持つことはいけないことではありません。ファミリーサポートや一時預かりは、理由問わず利用できます。親自身が相談する、頼る、制度を利用するという選択肢を持つことが必要です。

2010年に発生した大阪市西区のマンションで2児(3歳女児と1歳9ヶ月男児)が母親の育児放棄によって餓死した事件は、まさに10年前。

大田区の今回の事件の情報が少しずつ流れてくるにつれ、その間に少しずついろいろな対策も支援も行われてきたはずなのに、また起こってしまった、また救えなかったという気持ちが、ぐるぐると駆け巡ります。

地域ではたくさん方が親子を支えたいと温かく見守り、支援くださっています。でもまだこぼれてしまう親子がいることを忘れず、自分からの相談が難しい親子には、アウトリーチ型含めた積極的支援と、仕組み(制度・政策)、たくさんの連携により、こぼれてしまう親子がいなくなるようにと思います。