虐待防止緊急フォーラム7/4開催レポート

7月4日に「父親が考える!子ども虐待をどう防ぐ!」という緊急フォーラムを開催しました。冒頭で問題提起をさせていただきましたが、NPO法人タイガーマスク基金(私も理事をしています)の事務局さんが、素晴らしいレポートをまとめてくださいましたので、そのままご紹介させていただきます!

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タイガーの親団体であるNPO法人ファザーリング・ジャパン(以下FJ)との共催で、7月4日「父親が考える!子ども虐待をどう防ぐ!」という緊急フォーラムを開催しました。講師は、FJの理事やオレンジリボン運動の総合窓口である認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの理事でもあるタイガーマスク基金の 高祖 常子 (Tokiko Koso)理事。高祖理事は、育児情報誌mikuの編集長をしながら、子育てアドバイザーとして、これまでに2万以上の家族が参加した子ども虐待防止と、家族の笑顔を増やすための講演活動も行っています。

高祖理事が強く訴えたのは「しつけ」と「虐待」は全く違うものだということ。虐待の容疑で逮捕された親の供述でよくきかれるのが『しつけのつもりだった』という言葉。身体的暴力をふるっていなくても、数年前、北海道で「しつけ」と称して山に置き去りにされた小学2年生の男児のニュースも記憶に新しいですが、保護者が子どものためを思っていたとしても、過剰な教育や子どもが耐え難い恐怖や苦痛を感じればそれは「虐待」なのです。

子どもが泣き止まない時、しつけのために子どもを叩いたことがある親の約8割が親からも叩かれていた経験を持っています。学校現場でも体罰や暴言が容認されていた時代もあり、「叩かないしつけが分からない」という人も多くいます。しかし、「自分の3倍の大きさの巨人が自分の3倍の手で叩いてきたら、あなたはどう感じますか?」という高祖理事の問いかけに、会場の多くの反応が「恐怖」や「不安」を感じると答え、「その気持ちがまさに子どもが感じていること」という説明に、「そうか!」という表情をされている方が多くおられました。

暴力や体罰、暴言は、恐怖や不安による「支配」であって、辛い体験により脳が傷つき百害あって一利なし。子どもの成長に望ましい影響などもたらしません。「しつけ」は仏教用語の「習化(じっけ)」から来ていると言われており、子どもが自分から習慣的に行動できるように導くことで、親から強制されることではないということ。まずは、「しつけのために叩かないと決める」こと。そして、子どもをひとりの人間として尊重し、子どもの気持ちを受け止め、成長に応じて選択肢や解決のヒントを示し、子どもが自分で考えて決めて動けるようにアドバイスすること、というしつけのポイントが解説されました。

頭では理解しても、親も人間。毎日の家事や育児、仕事に追われる毎日の中で余裕がなくなって感情的になることは誰にでもあります。そんな時は夫婦で分担する、家電や宅配のサービスを利用する、他の家族や友人、ご近所、行政サポートの力を借りること。「助けて!」と言える力を身に付けることも必要です。「愛情はシャンパンタワーのように、パパからママへ、上の子から下の子へ」というアドバイスには、お父さんがたちが真剣にメモをとっていました。

グループワークでも皆さん熱心に語り合い、「正しい子育てをしようという考えに縛られていたかも」という気づきや、「まずは自分の子どもの話を聴くことから始めたい」という実践のステップをコミットされる方、「普段からPTAや地域での活動を通して、SOSを出せる関係をつくりたい」という、ご自分の家庭だけではなく、地域の子どもを守るという視点に立った考えなど、皆さんは講義を聴くだけでなく、自分事として捉え、考えてくださっている姿勢がとても印象的でした。

会場からの意見を受け、代表の安藤からは、虐待かもしれないと気づいたら「児童相談所ダイヤル189(いちはやく)」への通告はもちろん大事だが、「監視ではなく」、子どもや子育て家庭を「見守る」姿勢が大事ということをお伝えし、最後に、皆さんでご自分が実践されることを書いて記念写真を撮影しました。

今回のセミナーは目黒の虐待死の事件報道を受けて、FJ会員の橋さんが会員さんに呼びかけて自発的に企画してくださいました。タイガーマスク基金は、FJの一つのプロジェクトからスタート。「自分の子どもだけが幸せな社会などない」という思いから「社会の父親」としての役割を果たすために、代表の安藤は二つの団体の代表を兼務しています。FJ発信ということで、「父親が考える」というタイトルになりましたが、女性の方やお子さんがいらっしゃらない方、国会議員、都議会議員など様々なお立場の方に参加いただき有意義な会となりました。橋さん、ボランティアに駆けつけてくださったFJパパの皆さん、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

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8月24日(金)には、東京・半蔵門にて、タイガーの進学支援事業に助成いただいている 公益財団法人お金をまわそう基金様との共催セミナー<子ども虐待のない社会を実現するために必要なこと>を開催しますので、
こちらも↓ぜひ、ご参加ください!
https://okane-kikin.org/semi/tiger/

 

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